ふたりならぽーぽいね
ごろごろ、ごろごろ、もふう……。
ニ◯リで買った敷きパッドと羽毛布団が心地よすぎて、もう絶対に目覚めたくなかった。どうして冬の朝ってこんなに憂鬱なのか。寒いと気分が塞いで嫌なことばかり考えるから、よく眠れなくてスッキリ起きられやしない。
「疲れたなあ……」
「疲れちゃったの……?」
独り言に応える声。一緒に暮らしているコウテイペンギンの赤ちゃんだ。また心配をかけてしまった。
「モヤモヤおあずかり、する?」
この子の――コウペンちゃんのふしぎな力で、モヤモヤとかイライラとか不安とか、そういうのがスッと取り出されて、ふわふわの綿あめみたいに消えてしまうことは知っているけれど。
「……ううん。いいの。そんなものあずからなくていいから、ずーっとそばにいて」
こんなちっちゃくてかわいらしい手に、痛いものを背負わせたくはない。わたしの苦しさはわたしだけのものだ。そう思えるようになったのは、もしかしたら愛というやつのおかげなのかも。
「わかったよ~」
「ありがとうね、コウペンちゃん」
「ぎゅーってしよ~」
すっかり冬毛に生え変わった柔らかないのちをそっと抱きしめる。
もう少しだけ二人で微睡んだら、目を覚まそう。お布団を出て、お弁当の準備をしてアイスをたびて。外に出て、そうして、今日を生きていくのだ。