コウペンちゃん夢小説まとめ - 3/5

優しさだけでできた夜

「すよ……すよ……」
「あらま。寝ちゃったか」
 集中しているにしても静かすぎるなあ、と思っていたら、膝の上からすこやかな寝息が聞こえてきた。スマートフォンのロック画面を確認すれば、時刻は夜の十時を回っている。たいへん、あかちゃんペンギンが起きていていい時間ではない。
 怪我をしてしまわないようにそっとふわふわの両手から編み針を抜き取る。二人で協力して編み進めたから、きっとクリスマスには間に合うはず。
「むにゃ……いつも、ありがと……」
 去年の冬に行った旅行。わた雪のように真っ白なお揃いの帽子を貰ったお返しのマフラーが、今年のみんなへのクリスマスプレゼントだ。
 アデリーさん、大人のペンギンさん、邪エナガちゃんの分は編み終わって、あとはシロクマさんの分が三割ほど。
 また明日から頑張ろうね、コウペンちゃん。